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疲労 又はCFS

疲労 死ぬほど疲れている方にも、それほどでもない方にも。


ちょっと怖い疲れのお話し

「疲れています」というのは、私たち鍼灸指圧師が毎日聞いている、みなさんからの訴えです。この「疲れ」とは、日常の挨拶にある「お疲れさま」のように万人が抱える状態ではありますが、程度によっては心身に不快な状態であることには変わりありません。

病的でない場合の疲労とは、心身にかかる負荷がその人の持つ耐久力を超えたときに生じる作業効率の低下、休息を求める欲求、倦怠などの不快感、ということです。
何が原因かわかっている疲労であれば、あまり心配することはないと思います。仕事が忙しい、最近休みがなくて…など。ただし、次の場合は少々複雑になります。

疲労を起こす原因、状況が今後も変わらない。
休息をとる時間が今後もとれない。

このような場合、常に疲労を感じ続けることになり、お仕事の効率低下だけでなく注意力
低下からくる事故や怪我、何より体の抵抗力低下から病気にかかりやすくなります。

疲労を病として診る

 昔の中国の医学では、「疲労」といえば気虚(ときに血虚)という証(病気の種類のこと)の代表的な症状です。休息をとっても、疲れるようなことをしていなくてもある疲労感は、病気の一症状として扱っているのです。
この気虚という証は様々な病気の原因にもなりますし、また様々な病気が原因となって気虚になります。字の通り理解すると気(エネルギー的なもの)が虚(不足)した状態といえます。「食事を取らずに働いたらおなかが減って疲れた」と考えるとわかりやすいかもしれませんが、実際には「食事はしているのに胃腸の消化吸収能力(これも気の一つ)が足りない(虚)ので元気が出ない」という場合が一般的です。この場合は脾気虚といって気虚の代表的なものです。他にも心気(血)虚、肺気虚、腎気虚などなど、疲労の原因となる病気はたくさんあります。そしてそれらに対しての治療法もしっかりと存在します。漢方薬では補中益気湯などを用いることが多いですが、鍼では補気・益気の働きのある経穴に鍼をしたりお灸をしたりします。
この治療方法は単にコリを取る、筋肉を緩める、という考えの治療法とは異なり、中医学に基づいた発想でツボを選びます。

慢性疲労症候群(CFS)について

この病気は;
・原因不明の強度の疲労が長期間(一般的に6ヶ月以上)に及び継続する
・血液検査等も含む全身の検査を受けても他の病気が見つからなく、精神疾患も当たらない

という病気です。すなわち、疲労の蓄積でなく、ある時点から上記のような状態になるという特徴があります。そのほか発熱、体の痛みなどを伴うこともあり、初期は風邪などの感染症と判断されることもあります。

 この病気は正確な診断の上でわかる病気で、そのほかの様々な病気との鑑別が大切です。うつなどの精神疾患と判断されることも多いです。いままでお二人、自称CFSという患者さんを見たことがありますが、お二人とも心療内科で精神疾患の可能性を否定されたそうです。そのほかにもCFSと思われる患者さんには多数お会いしたことがありましたが、医師の診断を進めたことがあります。CFSは比較的新しい病気で、不明なことも多く、これといった特効薬もありません。ある薬が効く人もいれば効かない人もいます。補中益気湯も用いられますが、確実に効くわけではないようです。
CFSの場合、当院の治療法としては次の二つを用います。


①まずは気虚として診る。

 虚証の鍼治療は難しいと思います。補法の鍼が難しいからです。できる鍼灸師とできないのがはっきり分かれると思います。そもそも日本の鍼治療の発想は補法が多いのですが、これが中医学のいうところの補法と一致しないことがあります。日本の鍼での補法はやさしくて穏やかですが、中医学の鍼の補法はしっかりとぐりぐりします。痛くないようにするのですが、「まったく痛くない」というとウソになります。経験上、遠慮してやった補法はちっとも効いた気がしません。逆に寫法は適当にやっても効くことがあります。このやり方で2.3回のうちに変化がない場合、あきらめて別の治療方針を考えることもあります。


②うつの治療法を用いる。

 うつ病治療の頁にも書いてありますが、症状を徹底的に取っていく、という治療法です。うつ病の場合、当院では精神的なアプローチはあまりしません。身体の不調として考えます。これは中医学の大原則である唯物主観ともいえますし、心身合一ともいえます。うつ病の患者さんは様々な身体症状を持っています。不眠・食欲不振・肩こり・頭痛・めまいなど…それらの症状をねらって一つ一つ治療していきます。CFSの場合も、疲労に伴う身体症状に対しての治療を行っていきます。その過程で今までの疲労感を減少させていく、というのが目標です。

当院では常にかかりつけの医師・病院での服薬指示や診察を続けたうえでの鍼灸治療をお勧めしています。

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