額関節症、顎の痛み、歯ぎしり

顎関節症、顎の痛み、歯ぎしり

①顎関節症

 アゴが痛くて開けられない・かめない、カクカク音が鳴るなど、非常に不快な症状です。そもそも生物として最も重要な「食べる」ということに対して障害が出ますし、話したり顔の表情にも障害が出ますので、日常生活が著しく不便になります。

日本顎関節学会の分類によると、


1型:咀嚼筋障害が主で、筋緊張と筋炎がある。顎関節部の運動痛と運動障害はわずかで筋痛が強い。
2型:顎の関節包、靭帯、円板組織の慢性外傷性病変があり、顎の運動痛と圧痛が強く、音が鳴る。筋痛は弱い。関節鏡で病変を確認できる。
3型:関節円板のズレや変性、穿孔、線維化がある。クリッキング(ポキポキ)がある。筋痛はなく、顎関節部の痛みは弱い。
4型:顎の変形性関節症。関節軟骨の破壊、顎の骨の骨吸収や変性・添加、関節円板や滑膜の変形異常などの退行性病変。音が良く鳴る。X線で大きな異常がわかる。
5型:上記のI~IV型のいずれにも該当しないが、顎関節領域に異常症状を訴える、心身医学的な要素を含むもの。等に分けられます。

顎が痛くてすぐに病院に行こうとする方はよほど痛いかぜんぜん口が開かなくて食事も満足にいかないか、という重症の方でしょうか。多くの人はしばらく我慢して様子を見たりする様です。今まで顎関節症の治療でいろいろな方に聞いたところ、ほとんどの方は「痛いけど食べられないほどではないので我慢していた」とおっしゃいます。これらの皆さんは1,2,5型だったと思います。1~2回の鍼灸・指圧治療で関節円板のズレや関節軟骨の破壊が治るとは思えませんので。あまりにひどい痛みの場合はかかりつけの歯医者さんに尋ねる必要があります。また歯科大学・歯学部の付属病院には顎関節専門医がいます。
 病院での治療は、痛み止めの為の鎮痛剤、咀嚼筋・関節に炎症があれば消炎剤、かみ合わせ治療が必要であればマウスピース装着、又は歯の矯正治療、となります。しかし一般にはとりあえずの痛みを鎮痛剤でこらえて時間の経過を待ち、徐々に治っていくということになります。
てんほうの鍼灸・指圧治療では大体1~2回で治ります。関節のズレやら骨の破壊などがあればそうはいきませんが、今のところそこまで重症の方はいらしたことがありませんので。私見としてはほとんどの方が軽~中程度の痛みで悩んでいるようです。 ではなぜ1~2回で治ってしまうのでしょうか?
 日本顎関節学会の分類にならって、てんほうならではの説明をしていきます。
1型:何らかの原因で噛む・噛み締める筋肉が異常に緊張したことによる顎の痛み。この筋肉を使おう(噛む・口を閉じる)としたり伸ばそう(口を開ける)とすると痛む。首・肩の痛みや筋性の腰痛・ぎっくり腰と痛みの仕組みは同じ。したがって治療の仕組みも同じ。
2型:顎関節の関節包、じん帯、軟骨が何かの原因で傷ついた痛み。膝痛や肘痛、関節性の腰痛などと痛みの仕組みが同じ。治し方は関節組織にかかる異常な負荷の原因を取り除くこと。ほとんどの場合この原因は筋肉なので、筋肉を刺激することになる。
5型:心的理由だとする場合、精神的な何かが直接顎の痛みを作るわけではなく、両者の間には必ず神経・筋肉・関節が存在する。特に噛む筋肉は三叉神経という脳神経によりコントロールされているため精神状態により用意に異常緊張を起こす。治療はやはり筋肉からのアプローチ。

 顎関節症の治療は首肩のこり・痛みととても似ています。全身の筋肉の中で首肩がこりやすいのは、首・肩の筋肉のうち、二つの大きな筋肉が脳神経支配なため、緊張や集中、不快な感情により異常な緊張を強いられやすいことからきています。したがって顎の筋肉も脳神経支配のため、局所的な筋肉の緊張除去にくわえ、脳神経を過剰に興奮させている原因を取り除く、もしくはその影響を軽減させることが重要になってきます。

 もしもあなたが顎の痛みに困っているならば、ご自分の首や肩にこり・痛み・疲れが出ていないか感じてみてください。もしこれらがあるようでしたら顎の痛みもとりあえずは簡単に治ります。

 口腔外科の治療法の中にマウスピース装着やかみ合わせの治療があります。しかし近年このかみ合わせ治療を疑問視する見方が多くなりました。なぜなら不変もしくは悪化例が出てきているからです。そもそもかみ合わせという分野はまだまだわかっていないところが多く、その人にとって正しいかみ合わせがどれなのか十分にわかっていない限り、かみ合わせ矯正はすべきではありません。今のかみ合わせは、長年にわたりさまざまな原因によって作られてきたものなのですから、数週間・数ヶ月という短い期間で矯正をするということは人体の恒常性の維持、という考え方に反しますし、危険をともないます。読売新聞の医療ルネッサンスに、かみ合わせ矯正をしたために症状が激しく悪化、その治療に数年を要した女性の例があります。 (記事はこちら

 2.歯ぎしり

 睡眠中に上下の歯をこすり合わせて音を出すこの症状は、ご家族の方が気が付く以外にも、歯医者さんで指摘されることがあります。歯が磨り減るまでに歯ぎしりをしていることもあるからです。主に精神的・肉体的ストレスが原因とされていますが、これは首肩こりの原因と一致します。
 歯ぎしりを起こす方の「噛む」筋肉は、過剰に緊張していたり疲労していたりします。同様に首・肩の筋肉も硬く凝っていることが多いです。
 原因が何がしかのストレスであることは明らかです。これが簡単になくせるようなストレスであれば話は早いのですが、何がストレスかわからない場合や、ストレスの除去が不可能なこともあります。ではどうやって治すのかというと・・・

原因と結果の逆転
 ストレスが筋緊張を生む。緊張を起こしている筋肉を何らかの方法で強制的に脱力させる。するとその筋肉と、筋肉への出力を支配している神経は、かつてほどの緊張を強いられなくなります。結果としての筋緊張が減少することにより、体のストレスへの抵抗力が増します。
 この場合、過剰に緊張した筋肉を緩めるには鍼や指圧などの物理的刺激が効果的です。


てんほうではそもそも「関節のズレ」というものを重視していません。関節はズレるのでなく、その関節を構成している筋肉によっていくらでも形や角度を変えていきます。その形に影響している筋肉を特定し、原因を突き止めてその筋肉又は神経を刺激して治療するのがてんほうの主な考え方です。そしてこの治療原則には鍼・指圧が非常によく効きます。


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